白昼の決斗
道草次郎

狭い道を歩いていたら、突然、目の前をふわふわな毛の白猫が横切った。あたかも天の煤を払うかのようにリズミカルに揺れる長い尻尾。戦歴を物語る折れ曲がった長いヒゲ。ジャングル大帝レオのように太くどっしりとした四肢。歩き方には勿論、「のっしのっし」という吹き出し付きだ。じつに悠然とした佇まい、ムム、侮るなかれ自分。と、ヤツの鋭い一瞥。こちらも負けじとギロりで応戦。〈甘く見るなよ、猫め〉と心の中で凄む。両手を大きく広げ、丸腰であることをアピールしつつヤツとの間合いを徐々に詰めて行く。ヤツからおよそ1m半の距離。よし、ここはまだヤツの領域じゃないらしい。慎重を期し、微かな音も立てずにアスファルトにしゃがむ。ポケットから素早く〇IAOちゅ~るを取り出し、美味しさの銃口をヤツの額に向ける。いざ勝負だ、リビアヤマネコの末裔!


自由詩 白昼の決斗 Copyright 道草次郎 2021-03-24 16:24:25
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