海に向かって歩いていた
ひだかたけし

白く光る田舎の道を
カンカン鳴り響く踏切越えて
海に向かって歩いていた

薫る潮騒、うねる波
空き缶一つ、浜辺に落ちて
わたし独りのたましいが
水平線を覗き込む

 遠く船が落ちていき
 水平線の向こう側
 無限の彼方に落ちていき
 眩暈するよに落ちていき

(その時わたしの魂は
うすい涙を流していた
明るい日差しを浴びながら
うすい涙を流していた)

無限の彼方をいくものよ
戻り道を放棄して
果ての果てで掴むもの
それはいったい何なのか
刹那が開く永遠に
それを掲げ在らしめよ

(その時わたしの魂は
うすい涙を流していた
明るい日差しを浴びながら
うすい涙を流していた)

  *

白く光る田舎の道を
カンカン鳴り響く踏切越えて
海に向かって歩いていた













自由詩 海に向かって歩いていた Copyright ひだかたけし 2021-03-23 20:24:03
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