最近は


朝の寒さが和らいできて



冬がすっかり死んで春が来たなと





そう思う






死んだという荒いワードを使ったのには



理由があって





毎年毎年






春は優しい顔で
しれっと冬を殺して
取って代わって





ずるいなぁと







そう思うからだ


















デイリーポータルに古賀さんやよざさん別役さんの新しい記事がアップされていると嬉しくなる



そういう小確幸を常に百個くらい持っていて
それらをツギハギしながら
チクタクバンバンしながら
手首を切らずに生きている








僕は

勝ち組でも既婚者でも人の親でもないし

貯金もマンションも持ち家も持っていない

同窓会や誰かの結婚式に行った事もないし

NISAの仕組みについて勉強してみようと思った事はあるが結局はやめた






だがこれだけは胸を張れるが





僕は結構幸せだ








好きな日に好きな店で好きな飯を食い



もちろん無尽蔵な大金持ちではないが


月末のピンチやらを
自分で自覚して覚悟するなら




今日Ａ５和牛のステーキ食おうが


セックス買おうが


仕事を急に連絡欠勤しようが




わりと平気だ







誰かとチャンネル権を奪い合う事もなく






日曜日が付き合いゴルフで潰れたり


ママ友の集いに駆り出される事も無い人生だ








猫や犬が飼いたければ
予算に見合うそれ用のマンションに
来月越すことも出来る
















だがそれでは駄目だ
そんなものは詭弁だ
と








モモに出てきた灰色の男が言う








そして僕に真実の幸せ
本当に追いかけるべき幸福を
説こうとするが











冬がすっかり皆殺しに死んでしまって

生ぬるい路上には



春の桜が無修正の花弁を曝していて












僕の脳味噌の中は
灰色の男の理屈なんかより
今夜何の美味しいものを食べるか






それだけで一杯だ