かとり

影を、焚べてしまいたい、なんて思いながら、
森で、火を囲んで、物語を聴いた。
そのとき、焚べられた影が今、街をうろついている。
私を火刑に処そうとして。
あの焚木はとっくにない。語部もいない。森もない。
だけど、街を出てあの場所へ星を見に行きたい。
あのときとだいたい似たような、
星の配置を写真に撮りたい。
それがどういうことなのか、
それはまだわからないが、
影は私についてきてくれるだろうか。
今はそれが気がかりだ。


自由詩Copyright かとり 2021-02-09 20:25:33
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