「しおりん」に愛をこめて
一輪車

あの伊藤詩織さんが、
そう、あの伊藤詩織さんが最近、ノルウエーのテレビ番組で語った対談の発言によれば
”日本の満員電車では女子高生が日常的に精液をかけられている”
そうなのだ。
その発言を日本の雑誌がとりあげている。
https://twitter.com/shin_shr201111/status/1357927415100567552/photo/1 (『実話BUNKA』)
「え? そうなの? 知らなかった」と思わず膝を乗り出したわたしは目を皿にして、つまり平らになるくらい目を見開いて読んだ。
きつい一言が書かれていた。

 一部では詩織さんの発言に対して、そんなこと日本ではありえない
 とか心ない声も寄せられてるようですが、現実を受け入れることの
 できないバカか、余程の田舎者で満員電車を見たこともないのでしょう。

たしかにわたしは日本の満員電車などもう何十年も乗ったことがない。現実はそうなっていたか。
なんということか、わたしは落ち着かなくなった。
精液にまみれた環状線が日本の首都をぐるぐる回っている。
なんか、べたべたしてたいへんだろうし、第一、あの精液独特の栗の花のような香り、
あんなものが学校や会社にいくまえに電車の中に充満しているとは、なんてヘンな国なんだ。
あまりにもひどい文化の爛熟ぶりだ。
でも、まさかと思う。やっぱり現実を受け入れられないのだ。
さっそくJR東日本に問い合わせてみた。
JR東海にも。
JR西日本にも。
しかし返事はいずれもノーだった。「そんなことがあれば精液掃除専門のおばさんかおじさんを雇わなきゃならんでしょうが、あんた。真っ昼間からなに考えてんの」
相手はいたずら電話だと勘違いしてガチャンと電話を切ってしまった。わたし同様、この男も現実を受け入れられないやつだったようである。
わたしは腕組をして考えた。
毎日ではないにしろ痴漢騒ぎならときどきあるかもしれない。
ひょっとして詩織さん、痴漢行為があれば男性は必ず射精するものだと勘違いしているのではなかろうか。
ああ、
詩織さん、ずるい。詩織さん、エロ漫画やアダルトビデオの見すぎ。もう、一日中、頭の中が
おまんこのことで一杯なんだ。はは、詩織さん、だからあーた、妄想しちゃったんですよ、きっと。
あ、そういえばノーベル賞を受賞なさったニッポンの偉大な小説家、大江健三郎先生の御作にもそういうのありましたね。
『性的人間』『セブンティーン』など。ひょっとして詩織さんはあの文豪 大江大先生のファンだったのかっ!
痴漢すればみんな射精しているとは限らないし、男が女をテルホに連れ込めばみなやっちゃうとは限らない。
さて、
ということで布団をかぶって寝ようとしたら今度は英BBCのインタビューに答えて
詩織ん(「しおりん」と呼ばせてね、おまんこ話大好き詩織ちゃん。はは)、その「しおりん」が、こんなことを語っている場面に出くわした。

 If you grow up in Japanese society,
Everyone have experience Sexual Violence
Or Sexual assault
  「日本社会で育つと、誰もが性的暴力や
  性暴力を経験しています」
https://www.bbc.co.uk/programmes/articles/3z44Njyr5wzm3wbVMGZ7tFr/shiori-ito-japan-s-attitudes-to-allegations-of-sexual-violence-are-locked-in-the-past

そうか、これが今の日本の現実か。これはひどいな。しかし、世界でもっとも安全で性犯罪の少ない日本のことを
BBCは知らないのだろうか。このあいだも世界でもっとも住みたい国の2位に日本が選ばれたのだが、
電車の中がいつも精液で蔓延して、すべての女性が性暴力の被害を一度は受けたことがあるような国が
どうして世界で一番安全で、世界の国で2番めに住みたい国に選ばれるのかよくわからないが、
どうも「しおりん」は本気でそう考えているようだ。うん、
おまんこ話大好き「しおりん」には救いが必要かもしれない。わたしがもう少し若ければ、
「しおりん」でも我慢して
相手してやれるのだが、ボランテアで。 哀しいかな今や71歳だ。
精液も雀の涙ほどしか出ない。「しおりん」、許してくれ。
爺は現実を見るべく努力するつもりだ。御名御璽。

さて、これでゆっくり寝れると......布団をかぶって寝ようとしてわたしは
ガバっと起き上がった。
そうだ、「しおりん」像をつくるべきじゃなかろうか。
日本中の都市に、それから「しおりん」が好きな韓国の大統領府前にも「しおりん」の
〈許すまじ強姦像〉を建立すべきじゃなかろうか。
「しおりん」! 待ってて、てれけれれ、爺がきっと「しおりん」の無念を晴らしてやるぞお。
それまで、デマがばれないように頑張るんだぞ。爺は面会などいけないから。









散文(批評随筆小説等) 「しおりん」に愛をこめて Copyright 一輪車 2021-02-07 14:53:42
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