みずたま 〜ベンさん就職祝いにかえて〜
ヤギ

クレーターの端っこで
眺めていたのは地球だった
あそこに僕の体験の全部がパッケージングされている


傍らにはエジソンが立っていた


(こんにちは)

の形に口を動かした どうせ声は響かないんだ

(こんにちは)

きっとそういう意味だろう

(就職が決まりました)

(おめでとう)

(僕はね あなたに憧れていたんです 子どものときから
あなたより有名な発明家になろうって思ってた なれると信じてた
でも就職先は発明とは全然関係の無いところです)

(そうですか)

(就職したらずっと同じ仕事をして 毎日毎日それを繰り返していくんですね)

(そうですね)


やった! ってはしゃぎたいはずなのに
誰かに泣くほど謝りたかった
でも泣こうにも空気もないし
そのまま座っているほか思いつかなかった


月の温度で肩を


ぎうう
ぎううう


顔は見なかった
ただ地球を見ながら
飛んでゆく水球は
僕の涙だったのか


ぎうう
ぎううう


ぎううう



































「てか結構楽しいよ」
「あれ?カギカッコ?喋った??」

「ん 働いていくのも悪くないアルヨ」
「アルヨ…」

「ん がんばんしゃーい…」
「あれ? あの… あれ?」

そのまま成仏してゆく彼に
宗教の事とかちょっといろいろ思うところはあったが
やっぱり僕のヒーローは君だよ アルバ



自由詩 みずたま 〜ベンさん就職祝いにかえて〜 Copyright ヤギ 2005-04-20 17:59:31
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