銀の森
塔野夏子
銀の森へ行こう
君の果てと僕の果てが
かさなりあうところにある
銀の森へ行こう
銀の森へ行こう
そこには透明な木霊たちが棲む
たぶん 君も僕も
歌うことができなかった歌たちの木霊
その響きに耳をすませるために
銀の森へ行こう
銀の森へ行こう
その奥には円い池がある
その水面に映るのは
たぶん 君も僕も
見ることが叶わなかった夢たちの影
そのほとりで
僕ら二人
はじめて出会うかのようにもう一度出会うために
銀の森へ行こう
銀の森へ行こう
すべての忘却がやわらかく僕らを包む
銀の森へ行こう