フライドチキンの季節
道草次郎

すごく素敵なリアクションの持ち主
フライドチキンは譲りたいからいつも三本買った

どこにも行けない場所なんて無い
それを確かめる為だけに深夜の国道をぶっ飛ばしたね

んでプレヴェールが少し怖くてさ
だってもしプレヴェールが分からなかったら
どうしようって思ったから

屋台で2500円も使ったのは人生初
そのときのぼくは君の10歳を叶えた筈

かなしい記憶が本当かはどうでもよくて
35億分の1の偶然に無邪気に寄り添い

君はだいぶ痩せたらしいけど
10キロ太らせたぼくの手腕を覚えているかな

でもそれもぼくの世界
ぼくの世界にいない君を今は想像できるよ
君が失くした自分を拾っていくこと
それがぼくの安全靴だったかもしれない

そんなぼくに気づかないフリをした
その時の君の妥協
あれはうつくしかったんだろうか





自由詩 フライドチキンの季節 Copyright 道草次郎 2021-01-26 09:12:51
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