トライポッド・ジャーナル
竜門勇気


残念だけどこの物語はここでおしまいです
眠る前に何かを思い出そうとすると
こんなふうに説明を受けて眼をさます
残念だけどね、残念だけどって

あのよ俺んちにガレージがあってさ
下だけコンクリで固めてあって
天井を二本の足で支えてる感じの
ツタがまあ盛ってまるで廃墟みてえさ

何かが終わる
そんな気配が
ずっとずっとしてたよ
昼間に見える星
夜空に見える星
取るに足らない光は
全て消えた

残念だけどこの物語はおわり
どこまで行っても熱量死の景色が続くだけ
最後まで見てるって思ったから
そうするだけ
なんだか歪な構造を触る
手触りが信号を追い越す

最後の流星を見てる
最後だと思うからかな
あんなもんあっちゃいけないもんだと思う
暗闇に一つだけ、光ってるもんなんて



自由詩 トライポッド・ジャーナル Copyright 竜門勇気 2021-01-10 02:13:04
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