学問の寂しさと引き換えに
こたきひろし

生来 勉強についていけなくて成績最悪だったけど
何としても高校だけは出たいと思い必死に頑張った

そして
地元の県立を受験したら合格した

だけど高校生活三年間もイジメにあってしまい
私はその記憶も黒く塗りつぶすしかなかった

就職して社会に出ても
そこにも巣食っていたイジメの構造の中で私は被害者になるしかなかった

だけどどっこい
イジメられ続けた者は痛めつけられた分
強くなっていた

イジメる者の弱さ脆さを見抜けるようにもなれた
自分の存在を冷静に客観的に見つめられるようになれた

それはきっと
もしイジメに絶望して自分の存在を社会から切り離し
逃避してしまったら
手に入れる事の出来ない思いだったに違いない

私は子供の頃から内向的で殻に閉じこもる性質だった
それがわざわいしてイジメ被害にあったのだ

だがそれも一つの人生サンプル
ありがちな見本なのだ

だとしても
人の一生に無駄はない
あろう筈がない

誰だって
それぞれの人生という学問の集積には
たえず言いしれない
寂しさが付きまとっているのだけれども


自由詩 学問の寂しさと引き換えに Copyright こたきひろし 2021-01-09 07:38:43
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