小箱
そらの珊瑚

普段は気にも留めないのだけど
ふと気づくと
時があっという間に過ぎている
それにはしっぽも前髪もないので
つかまえることができない

天気予報では雪だったのに
外れてただ寒いだけの日になり
やっかいな雪が降らなくてよかったとほっとする

ああ、ざんねん
小箱の中で少女が叫ぶ
そうだった
雪を心待ちにしていた私がいた
雪だるまにまた会いたかった
すぐさよならがやって来るのに
さよならくらいへっちゃらだった

過ぎ去った時間は
消えてしまうけれどなくなったわけじゃない
それらはみんな
静かでおしゃべりなこの小箱の中へ

ゆきのかみさまえ・・・
そんな出だしから始まる手紙が舞う
泣いてるような
笑っているような
溶けかかった雪だるまの顔
さむくてあたたかい
みんな水に還る前の永遠の冬の日


自由詩 小箱 Copyright そらの珊瑚 2021-01-07 15:16:08
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