剪定
一輪車

ちぎれた空に
雷鳴が轟くころ
辺境の朽ちた博物館に
わたしたちの名札が
置かれる
頭蓋に穿孔のあるapeたちの骨のさまざまな見本
そして
最期に
口蓋に
ぶらさがった胃の干物が飾られている
(ふふふ
(あはははは
じぶんでじぶんを
食べてしまったあげく
口と胃だけが残ったのだ

すっかり草に覆われた
家やアパートに電報が届き
雨風が窓を叩く
さあ、出ておいで
灯の消えた家々をうかがうように
囁くものたち
さあ、出ておいでよ
疫苗(ワクチン)を打ってあげるから
さあ
美しい衣装をまとった
口と胃だけのものたちが
闇を覗く

わたしは
壁で囲まれた部屋にいて
クレヨンで
玄関を描いてる
そこから
出ていこうとしたのだが
壁は
とてもかたい
それで
しょうがないから
床に湯舟をえがき
そこにゃがんで
ひたすら
陰謀論を読んでいる
夕食のおかずは
歌を忘れたカナリアの串焼きだ


自由詩 剪定 Copyright 一輪車 2020-12-22 09:21:53
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