極力、眼を現実から反らしたい
こたきひろし

どんなに辛い目にあっても
どんなに悲しい思いをさせられても

そこは大人だから
人前に弱音をはいたり
涙滲ませたり
できない

そんな事したら
見せかけの同情と裏に隠された
嘲笑を買わされるだけだからさ

人は他人が不幸になると自分と比較するだろ
そして噛みしめるのさ
良かった 私はそうならなくて と

立場がかわれば
それは私だって同じだから
責められはしないけれどさ

裕福な家には産まれてこれなかった
そのせいで
食べる
着る
住む
の生活は貧困そのものだった

そこには
生まれた時代の背景と
育った土地の環境が暗い陰を落としてもいた

人は自分の運命の星から降りる自由はないのだ

イヤと言うほど思い知らされている

お金が潤滑に回らない人生
お金の心配が尽きない人生

なのに
お金に恵まれたせいで
いっそうお金に翻弄される
人生もあるらしい

そんな現実から極力眼を反らして
物を書いてる自分がいる

書いてると言うより
スマホに打ち込んでる

打ち込み終えたら送信をクリックしてしまう
そんな
私の精神構造は
果たして
豊かなのか
それとも貧しいのか

それとも
送信する瞬間の快感に依存しているだけなのか


自由詩 極力、眼を現実から反らしたい Copyright こたきひろし 2020-11-15 06:56:57
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