極力、眼を現実から反らしたい
こたきひろし
どんなに辛い目にあっても
どんなに悲しい思いをさせられても
そこは大人だから
人前に弱音をはいたり
涙滲ませたり
できない
そんな事したら
見せかけの同情と裏に隠された
嘲笑を買わされるだけだからさ
人は他人が不幸になると自分と比較するだろ
そして噛みしめるのさ
良かった 私はそうならなくて と
立場がかわれば
それは私だって同じだから
責められはしないけれどさ
裕福な家には産まれてこれなかった
そのせいで
食べる
着る
住む
の生活は貧困そのものだった
そこには
生まれた時代の背景と
育った土地の環境が暗い陰を落としてもいた
人は自分の運命の星から降りる自由はないのだ
と
イヤと言うほど思い知らされている
お金が潤滑に回らない人生
お金の心配が尽きない人生
なのに
お金に恵まれたせいで
いっそうお金に翻弄される
人生もあるらしい
そんな現実から極力眼を反らして
物を書いてる自分がいる
書いてると言うより
スマホに打ち込んでる
打ち込み終えたら送信をクリックしてしまう
そんな
私の精神構造は
果たして
豊かなのか
それとも貧しいのか
それとも
送信する瞬間の快感に依存しているだけなのか