月と名のない花
道草次郎

風に栞をはさみ
手をかけると
ノブは風化していた
脳りの白亜層に
つき琴は鳴り

ゆっくりと
蝸牛のツノは
五うんの
河を
じのぼる

類語字典は灼き
ふむ草のかんしょくで
どうか
明朗にと

言及を
ついしてしまう癖
主語の花は
そっと
野辺へ返礼を

月面に多義を
さがしても
コミカルだから
どこか意味も
愛らしく

シークレット・ガーデンに
演算の泉

詩想と
くちにするだけで
枯れてしまう
宇宙色した
つつましい薔薇の
いく本かが棲み


自由詩 月と名のない花 Copyright 道草次郎 2020-11-14 07:02:39
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