ポット塩味
犬飼敬

アクリル壁の厚みその身のごとく 砕けばながれこむ風刃

擦り切れたテントの傷にむずぶ星 故郷のベガは依然異常なき

海には種類があるのと知らされる、前、に、海も知らない日焼け肌

暮らす頃さえ遠く硬爪の鋭腿の弾ける季を懐かしむ

湧出の機関や筐体下部ダストポットを換えて、海に流して

大海から母上がる。帰る場所もない。あるべき「いつか、どこか」は遠い

ボードさえ立たない涛流の中で手を、つなぐ必要性、と、マジョラム

寂しいでも愛しているでも取りこぼす閃光をその瞳に繰り返し見る

君は突き放されたまま、終わりの話から始める 恋人のよう

メギド72の7章3節を読んで


短歌 ポット塩味 Copyright 犬飼敬 2020-11-11 19:43:22
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