『冬の星座』のために
道草次郎

「アルタイル(ひこ星)」

めをつむると
いたって
砂さばくです

ずっと
ふたはあけたまゝ

眼には
さぼてんの花

如何いかん
せん
いかん
せん

両の手で
ひらひらの膨らみつくり
そっと
屋根だよ


(めいもく)

さばくに一縷の水脈
たより
たぐりて
且つ
まさぐられ

ひこ星の一商隊キャラバン
です










✳『プレアデス星団後記』

オリオン舞いたち/スバルはさざめく/無窮をゆびさす/北斗の針と


『冬の星座』の詞はいい。こんなのが書けたなら、もうおしまいにしてもいいな、とおもう。

冬至を過ぎた。
暦には雪の結晶。生まれくる雲には仄白い涙跡。かなしい。常緑のものだけが空にたくましい。石炭紀の繁茂の俤と、梢にチラつく褶曲地層のまぼろし。

空気の匂いがとても古くて、うれしい。もうじき白い夢想の季節がやって来て、うつくしいものはみなより一層美しくなってしまう。

それもまた、あはれをさそう。

風だけがひとり初冬の柔らかな陽射しの中をかけてゆく。それを追うように、おとなしい燠が刹那、かっと赤い火花を宙に舞わす。プレアデス星団、万歳、と。


自由詩 『冬の星座』のために Copyright 道草次郎 2020-11-10 16:02:29
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