遊園地
猫道

朝 毎日すれ違う高校生達の制服は
冬服になった
夏仕様のペラペラのスラックスで凍える俺が通りますよっと

季節外れというのはわかりやすく言えば
時代遅れだ 早すぎた
あと300年しないと丁髷のリバイバルは来ない

年明けに会った晴居彗星くんという友人が
「もう今年も終わりますよ」と言った
さすが彗星だけあって
地球を俯瞰して見すぎている
ところがどうだろう
本当にもう今年は終わるではないか

老人になるということは
こんな感じだろうか
楽しかった遊園地
いつの間か閉園時間を迎えるような

ところでその人生という遊園地は
天国か地獄か

職場で定時を迎えたサラリーマン達が
「もう帰る時間か!」
「もっとここにいたい!」
「明日も来ようね!」
「ズッ友だよ!?」
と言い合って
皆で記念撮影に興じていたとしたら
それは天国というより何かの宗教だ

一方、この世のどこかには
「今日もまたここに来てしまった」
「早く帰りたい」
「どうして時間が経つのがこんなに遅いんだ」
「やっと帰れる」
そう思って立ち去る遊園地もあるだろう
それは紛れもなく地獄だ

大きくなったら何になりたい?
おもちゃ屋さん
ケーキ屋さん
レーサー
野球選手
昭和生まれはとにかく好きなものを言った
未来に期待していたから

でも
好きなものに囲まれる遊園地は幸せだろうか
答えは閉園時間までわからない
いや
閉園時間を過ぎても
だって
あと300年しなければ丁髷のリバイバルは来ないのだから


自由詩 遊園地 Copyright 猫道 2020-11-05 08:40:09
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