晴れ曇り雨そして嵐
こたきひろし

時計はいつもいつまでも時間の言いなり
朝からテレビの音声と映像垂れ流しにさせて気にならないのは
その実時間が気になって仕方ないから

水道の垂れ流しは放っておかないし、血の吹き出しに至っては救急車を呼んでしまうくらいだ

毎朝
判子を押すように七時半に家を出て同じ通勤路を車で走り十分程で勤務先に到着
そこから徒歩で事務所へ向かい四十六分になってからからタイムカードを打刻する
十五分単位で時間外の賃金が発生してしまうからそうするのが暗黙のルールになっている

私は物流センターの屋外で単独で働いている
そこではトラックで回収されてくる酒類の空容器の伝票チェックと仕分けそして片付け
その他諸々の雑用を任されている

八時から働き出すとやたら気になり出すのはお昼時間だ
そして昼休みが終わるとやたら気になり出すのは十七時の終業時間だ
私はフルのパートタイマー
仕事への愛とかやる気は求めないで貰いたい

勿論
賃金を頂いている以上そつなくこなしミスは犯さないけれど
それは半年ごとの契約更新を無事にすり抜ける為の方便
それの何が悪い
責めないでくれ

老人は年を取ってるんだよ
細胞が劣化の一途を辿っているんだよ
昔なら日がな一日日向ぼっこさ

今の時代そうはいかない
豊かになり過ぎたんだよ
解るかな?

老人は年を取ってるんだよ
丈夫を演じているけどさ

体は確実に悲鳴をあげているんだ

悲鳴をあげているんだよ





自由詩 晴れ曇り雨そして嵐 Copyright こたきひろし 2020-10-23 05:43:32
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