封筒
オイタル

テーブルにこっそりと封筒が届いた
茶色い養生テープがしかつめらしく巻き付けてあった
テープを剥がしてねちゃねちゃ丸めたが
丸めるべきは封筒であったかもしれない
危険なものは遠ざけておくように

僕はじょじょにうれしくなったのだが
うれしいことは遠ざけておくことだ
三日後から今日までを巻き戻せればいいのだが
今日はあいにく終わってもいない
まだしばらくはこのまま続いていくようだ

うれしいこととつらいことの質量は
ほぼ釣り合っているような気がする
釣り合わなかったら微調整が必要だ
無理やりにでもうれしいことを増量し
もしくはつらいことをもっと増量して

天の川が養生テープのように夜空に膨らんでいる
周りに塵芥が星空のように広がっている
思いの丈はきらきら光る封筒にではなく
丸められた養生テープに染み込んでいる
僕は巻き戻る今日を肴にビールをあおっている

まもなく今日が終っていく
残ってしまった手札のように


自由詩 封筒 Copyright オイタル 2020-09-24 08:46:55
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