ぼ石
新染因循


墓石のあわいを這いまわった風に
肉体という温度をおもいだす
血という言葉はなまじろい蛇のように
とぐろを巻いて しめつけようとしている
線香の煙を青空の雲とうかべれば
どこへと行く そこをなんというのだ
砂利と汚れを酒で濯ぎ
柄杓を萎びた花束に傾けて
あなたの名を 昏く輝かせてから
あなたに触れた手と
あなたが触れられなかった手を
結ぼうとする
わたしという朱いいと


自由詩 ぼ石 Copyright 新染因循 2020-09-21 17:55:52
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