あたかも 森が海を恋しがるかのように
るるりら

トイレに 貼られた関門海峡の写真
そのくせ 見る事のできない生まれ故郷


「もし そこにいるのなら返事して」母は言う
補聴器をしなければ何も きこえず
わずかに光だけを感知する あなたの手は
まるで森の木々が とおい海を恋しがっているかのよう

煩悶しかない日常
けれど、あなたは むかし
おさない私を 極端な怒りの人や悲しみの人から
あなたは まもってくれたのかもしれないね
怒った顔の人のことを、あなたは 十時十分だと言い
かなしみの人のことを、あなたは 八時二十分だと言った
喜怒哀楽を記号化して へっちゃらにしようと
してくれたのかも しれないね

もはや 時計をみることも 音を聞くことも難しくなった
暗闇で とうさんを呼ぶあなたは
まるで 森が海を恋しがっているかのよう
私の顔が十時十分だか八時二十分だか 
あなたには 知る方法がない
たとえ一メールの距離に居ても 解らない

そして

どなってしまうのです
「ごはんができたよ」とか そんな些細なお知らせを
どなってしまうのです

煮える喉 からみつく私の思いに 
鏡にうつった 苦味ばしった苦痛の顔に
教えてあげよう
「わたしの感情なんて ただの記号です。」

エモーションよ
風に
なれ
海に
なれ








***********************

即興ゴルコンダ(仮)という即興詩のサイト参加作品です。
このサイトは同じ題名で 詩を提出しあいます。今回のお題は、わたくし るるりらが出させていただきました。ふるってご参加くださいませ

http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=6137556#13156123


自由詩 あたかも 森が海を恋しがるかのように Copyright るるりら 2020-09-19 09:54:26縦
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
るるりらの 即興ゴルゴンダ