わたしがぞうさんだったころ (童謡「かくざとういっこ」によせて・・)
Lucy
わたしがぞうさんだったころ
大きな大きな夢と希望と
ありあまる時間と可能性と
努力すればいくらでも磨ける若さと才能と
確かな記憶と集中力と
眠らなくてもどこまでも歩ける体力と
持て余すほどの自意識と
自尊心と傷つきやすいガラスのハートと
持ちきれないほどの恋と憧れと欲望とで
膨れ上がって
自分が嫌いで
勲章はいつもはるかな遠いところに
誰かほかの人の胸に眩しく輝いていて
うらやましくて
妬ましくて
ぐずぐずしていたものだから
時間はあっという間に流れ
ひとつひとつを失くしていった
憧れも希望もなにひとつ手に入れられず
象はしぼんで
いつしか小さなありになっていた
だから
角砂糖一個の幸せが
とてもおおきい