YES
道草次郎

こわい
なにが?
今が
なんで?
こんなんじゃいけないし
こんなんとは?
今のこの状況
具体的には?
全部が未定という事実
具体的には?
ここには書けない
なんで?
書きたくない
どうして?
書いても仕方ない
それだけ?
全部はさらけ出せないから
なぜ?
欺瞞がばれるから
欺瞞がばれると何がいけないの?
惨めな気分になる
惨めなのがそんなにつらい?
つらい
惨めってなんだと思う?
人と比べて自分はクズだと思うこと
なぜ人と比べるの?
だって人の中で生きてるから
でもなんで比べる必要があるの?
それが仕組みに組み込まれるということだし
なんの仕組みだって?
社会の仕組み
社会ってなに?
人と人と人がいてその中に自分も人としているところ
君はたくさんの人のうちのひとり?
ぼくはたくさんのうちの1人であり1人としてたくさんに対峙するもの
じゃあたくさんの中のべつの1人は何なのかな?
遠い存在それはべつの宇宙
じゃあ社会とはそれぞれ相容れない宇宙がたくさんあるというそういう状態のこと?
社会というか世界はそうなってる
世界の中にたくさんの独立した宇宙が点々とあるの?
ちがう。それぞれの独立した宇宙を容れるいれものとして世界は存在しない
じゃあ世界はどうやって存在しているの?
それぞれの独立した宇宙があるという想定自体がそれを包む世界を前提としてるから本当はぼくというたった一つの宇宙しかないのかもしれない。だから、世界は存在しないのかもしれない
じゃあ君の宇宙がただ一つあってそれ以外の宇宙は君の宇宙の中の幻かい?
わからない。でも、別の宇宙があることを前提にしないと何もかもが成り立たなくなる
なぜ成り立たなくなる?
だって別の宇宙があることを前提としてはじめて社会は成り立っている
社会?世界ではなくて君は社会のことを言ってる?
そう、社会。
君はさっき社会というのはたくさんの人のなかに自分という人がいるところのものだと言った。社会と世界はどう違うと思う?
社会は人と人の関係のまとまりで、世界は自分のもの
社会は世界の下位に属すると思う?
いや。というか社会は概念、世界は概念じゃない
概念てなに?
概念は実在しないもの
実在ってなに?
ぼくが在ると認識せざるを得ないもの
認識って目で見たり耳で聞いたり肌で感じたりすること?
違う。あらゆる感覚器官をなくしてもそれを認めざるを得ないそういうもの
世界は認識できる?
ぼくの世界はできる
社会とは世界の概念?
ぼくの世界が概念するところのものが社会
君の世界が概念する?
そう。ぼくの世界しか概念できない。僕以外の何かや誰かは概念できないから。
君以外?でも、君以外も君なのでは?
そうかもしれない。ぼくはぼくの世界を認識できるだけ。そして僕以外の何かや誰かもぼくのもの
君はひとりなの?
そう。ぼくはひとり
ひとりってどういうこと?
全一なこと
全一って?
それだけでことたりること
死とはなに?
わからない。たぶんぼくに含まれているもの
君はなにがこわい?
……
君はなにをこわがってるの?
今を。
今って?
わからない。おそらくぼくみたいなもの。
時間とは?
世界みたいなもの
君はどうしたい?
ぼくは疲れた
君は何に疲れた?
ぼくはぼくの在り方や今の在り方に疲れた
それで君はこの先どうする?
わからない。たぶん変わらない
変わりたい?
変われない、在り方としては
でも何かを変えたい?
変えたい。けれども変えられないものと変えられるものをちゃんと判別したい
そのために君は何をするの?
ぼくはそのために詩を書く
詩ってなに?
整理すること
ペンを使ってしかできない?
そんなことない。どんな方法でもそれはできる
詩を書かないことも詩を書くことに含まれている?
そう。書かなくても整理をしている人は詩人
君は詩人になりたい?
なりたい
なぜ?
それが生きるということだから
君は生きたいんだね?
そう。ぼくは生きたい、死ぬことも含んで
君は肯定したい?
たぶんしたいよ
YESといいたい?
かもしれない
じゃあ言えばいい。君は君に何と言う?
YES

さあ始めよう
すべてはいつも ここからはじまる








自由詩 YES Copyright 道草次郎 2020-08-11 09:24:02
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