花束と折り鶴が少しだけ風に揺れる、ように
るるりら

この星の何人かは
ちいさめの正方形の紙を見かけると
戦争が終わった後だというのに
戦争のせいで病み 快癒を折り紙に託しながら
亡くなった少女のことを思い出す

紙の角と角を 合わせて
鶴に嘴をつけるときは 微妙に個性的な表情がつく
そして 均整のとれた形の中央に
繊細に 息を吹き込む


少女の折り鶴は ガラスケースにいれられて
うやうやしく 原爆資料館に保存されているが
いままさに うまれようとしている 折り鶴も
最後に息を吹きこむと完成だ

細心の注意がそそがれて 紙は息をうけて すこしだけ ゆれる
ふくらみに とどまる息が やはり生きたいと言っている




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自由詩 花束と折り鶴が少しだけ風に揺れる、ように Copyright るるりら 2020-08-07 01:10:12
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