流れてきたものを
道草次郎
流れてきたものを
流れていくままに
コンビニのfreeWiFiに仮登録して
電波具合の良い右から2番目の駐車スペースで
病んだ獣のように
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遠方に
妻子を泣かせ
カードローンばかりが膨らんで
自殺と遺書と独在性と夕焼けと
宗教的な何かを
胸に湿らせ
ジャスミンティーは既に1,2リットルは飲んでいる
流れていくものを
流れていくそのままに
自分で自分を羽交い締めにして
さあやれさあやれ
とひがな一日叫び続けていた
今にも倒れそうな母は
弁護士の話と生命の話と論理的必然の話をし続ける
蔵書に火を放った
夢を
三日三晩みた
耕運機のうなり声が人の絶叫のように聴こえてしまう
流れさるものが
流れさるその先へと流れていくのを見送る
一日死んでいた
会社を休んで死んでいた
おもえば今までの人生
なんど休んでしまったことか
そして
なんどその日の日銭を失ったことか
妻子がいるのに
ぼくはこんな風だから
こないだ
ギリの母にクズ男と言われた
そう言われた日は普通に過ごし
次の日も普通に過ごし
その次の日は
遺書をかいた
流れていく
流れていく
強いことは善いことだと
野の花は言っている
あまり綺麗でない野菊の花は
西陽に照らされている
それだけのこと
それだけのこと
それだけのことの中に
どれだけの強さと善が
あるんだろうか
いまは
静まり返った新月の湖に
ボートを1つ浮かべたい
自分だけが悪いと
思ってはいけないね
そんな
子供でも知ってることを
1からもう一度考えなきゃならないなんて
つくづくこの人生は
歯がゆくも美しく、内的だ