かみなり
帆場蔵人

遠雷が鳴る あとかさき
かなかなひぐらし かなしんで

夏の報せ、がたくさん奪っていった
なつのせみはるのせみ黙っていった
遠野で踊るハタタ神、てをのばして

あの遠雷に帽子を被せたい

鉄塔を僕はひたりと登って
きた道が雨の気配に湿って
やがて、雨中に沈むだろう

鉄塔の蜘蛛や糸にすがる、亡者と話し
帽子を片手に持ちながら、鉄塔ゆれて
きた道ゆく道雨に沈んで、鬼灯あかく

遠雷をともして、鬼灯ともり、くちなわたれて
つかめどもつかめども、遠雷はつかめないのだ
かなかなひぐらしかなしんで声をなくしていく

遠い野に落ちる、遠雷、それは運命のようだ
遠い野にみちる蝉の声、ただ遠いだけなのだ
遠い野はただ遠い、ただそれだけなのに遠い

ひたりひたり遠い野にてをのばして
ひとり僕は帽子を鉄塔に被せた


自由詩 かみなり Copyright 帆場蔵人 2020-07-31 19:18:46縦
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