思い出の中で記憶が揺れるのか 記憶の中で思い出が揺れるのか
こたきひろし

産まれたばかりは
眠っているか泣いてばかりいた

産まれてばかりも
夢を見るのか
見ないのか

記憶は何もない
まるで
無感覚か無意識の
暗闇だったから

誰かに
何者かに

私が最初に
この世界に抱き上げられた
その時
自分は単純に生きた肉片の集まりに
過ぎなかった
かも
解らない

そして
母親なる人の
胸に抱えられた肉の塊は

瞬く間に自立歩行した

成長は
言い換えれば
細胞の劣化

やがて生を死へと導く為の


自由詩 思い出の中で記憶が揺れるのか 記憶の中で思い出が揺れるのか Copyright こたきひろし 2020-07-31 06:57:08
notebook Home 戻る