トラブル
ひだかたけし

不条理な場面に引っ掛けられ
怒りに駆られ足掻いたら
余計不条理な沼に引き摺り込まれた
泥沼、ドツボというやつだ
晴れない濡れ衣を着せられて
反射的に手を出して
いつも馬鹿を見るのはこの自分
分かっているのにまた逆らい
運命の悪筋を自ら描く
あゝ分かっているのに、分かっているのに

いつしか対人無関心を装い
装う殻に閉じ込もり
トラブルに巻き込まれるのを避けている、
対人麻痺の離人症
心の抑圧鬱積は降り積もり
毎日降り続ける雨にどんより
この麻痺した心の野辺に
雨はどんより降り続く

毎朝通う道筋の
雑木林に咲き乱れる、
雨滴に濡れる紫陽花を
私は見つめ私は思う
何に対しても激することなく
ひっそり一途に咲き開く
一途に捧げて咲き誇る
そんな生の形もあったのだと
そんな強さもあったのだと

今日も
静かに仄かに発光する
青紫の群落に
しばし心を和らげられ
密なる人間関係に向かっていく



















自由詩 トラブル Copyright ひだかたけし 2020-07-11 18:41:24
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