そのサラウンドで
竜門勇気
三つ、四つ
庭においた椅子にすわって
五つ、六つ
遠くで消える光を数えた
せめてもうすこしだけ
近かったら
何考えてるかなんか
わかったんだ
あー今なら知ってるんだ
なにも今日は起きない
だからねてるんだ
探しに行かなきゃ探しに行かなきゃ
なんにも起きない
今日は普通の日になってたんだ
台無しにしたのは僕で
あいつは待ってただけ
一つ、二つ
空んなった缶を蹴って
三つ、四つ
庭においた椅子にすわって
せめてもうすこしだけ
まともだったら
長続きはしたんだ
続いてたんだ
あー
わかってからじゃ遅かったんだ
うまくやるなんて
できっこないぜ
わかっちゃだめだったんだ
そう生まれてこなきゃだめなんだ
当たり前にコーヒーを飲んで笑って
当たり前に日が暮れたら散歩に出かける
そうやればよかったみたいだなんて
気づくやつはきっとどこいったってだめなんだ
黙ってへしゃげている
どっかの花火が燃え尽きて
でかくて影みたいな色のバケツに突っ込まれる
はしゃいだ大人が草むらを踏み潰す
小さなアリたちと一緒に
へしゃげた場所に
潰れていった奴らの匂いがやってくる
星の光がきつい
お前も平等だといって
丈夫な上着も温かいシャツも
すべて奪って笑っている
一つ、二つ
剥ぎ取られたもののことだけしか思えない
三つ、四つ
剥ぎ取られたもののことだけしか思えない
五つ、六つ
無力なことしか感じられない
七つ、八つ
無力なことしか感じられない
九つ、九つ
思い出せることだけで
九つ、九つ
全部になっていたい
新しいことでむちゃくちゃにされたくない
新しいことでぐちゃぐちゃにされたくない
声なんてかけないでくれ
心配なんて見せないでくれ
もうすこしだけ近くてよくできた
真の何かなんて仮定していれば
ずっとうまくやれた
でももういいのさ
新しいことでむちゃくちゃにされたくない
新しいことでぐちゃぐちゃにされたくない
声なんてかけないでくれ
心配なんて見せないでくれ