Lucy

蒼いインクを流し込まれて
世界は行き暮れた
やがて長い夜が明け
暮らしの屋根から細く立ち上るかまどの煙や
打ち寄せられた農具さえ
インクの色に染まっていた


それでも 鐘の音を聞くと
倒れた麦を起こすように
おずおずと人は働き
ある者は歌をうたう
洪水が去り
戦が終わったあの日々のように

ひとり
またひとり
傷ついてなお生き延びた者らが
朝日の野辺に長い影をひき
帰りはじめる







自由詩Copyright Lucy 2020-06-27 17:05:21
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