死にたい、が零れる夜
もとこ
「死にたい」
が
唇から零れ落ちる夜は
時間の粘度も高くなり
生きたまま
全身の血が失われていきます
苛立ちすら
霧散する無力感
【本当は】
【死にたくないけど】
【もう】
【どこへも行くところがない】
【これ以上は】
【無理】
という文字列を
果てしなく
繰り返しつつ
それでも何とか
今度も
辿り着きたいのです
運命という幼子が
命の歯並びを
そっと
矯正しはじめる夜明けに
自由詩
死にたい、が零れる夜
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もとこ
2020-06-11 13:44:32