黒いカード
アラガイs


輪の正体は不明だという
「黒いカードを渡された」
真っ黒に塗りつぶされた四枚のカードだった。

   この中に一枚ジョーカーが紛れ込んでありますが、
そんなとこを言われてもわからないので、それよりもお金をくださいと返事をした。

腰を据えたのは銀河からだとかなんとか
二人目の女が指を指したのはスペードのエースだと言われた。
間違って引いてしまった女の白いワンピースはいつのまにやら真っ黒に変わっていた。

 「見えない引力は必ず存在するのだ」
背中に貼り付いていた男がそう呟くとジョーカーの一枚を見事に引き当ててしまう
大きな顔したカード男の鼻は潰れしかもふくれ上がり、周りを一蹴ながら白いスポーツカーで消え去った。

鳥かごには一羽の鸚鵡
人のよさそうな老夫婦には孫が百人も居るという
鸚鵡は飼い主の老夫婦にジョーカーの一枚を教えようと必死で嘴の先を動かしている
この老夫婦は見事にハートのクイーンで外れてしまったが、 
                         ゆるい笑顔はいつまでも絶やさなかった。

二人の科学者は一体何処に居るのか
 彼らに導かれてこうして  「そんなとこよりもお金をください」
 黒いカードをじっとみつめる
ダイヤのキングを握りしめてわたしはしつこく食い下がっている
    辺りは闇に包まれて
               操舵船の音だけが鳴り響いていた。








自由詩 黒いカード Copyright アラガイs 2020-06-01 02:07:30
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