錆た門扉を叩く
あらい
コンビニのスキマに花屋がある。
だれも気づかないが傷ついた者が営む
代々伝わる一輪の薔薇の行く先へ。
穴だらけのスポンジと刺さり、生贄と栄える、
クサリカケタ海馬に喰まれている、水死体。あなたのことです。
私はと云えば、口笛を吹きながら帰りを待っている。
夕餉足繁く薫る風に知らぬ。人にも満たない命ですから、
流してくれている、その裸電燈の橙だけは認識しているみたいだ。
片時も狂いない青ざめた公衆電話、揺れるマーガレット
冷々と泣き、きっかり喚くもの、さよなら 烏の子
蝙蝠傘で庇っては、雨に濡れても。うたはきこえない
然し、手に取っては何にも成りません。
微笑みかける、花開いたスカートのプリーツ、
ひとりやふたり、裏地に寄生して齷齪と繁殖をする。
我々自身、地雷の翳を踏んでいるとも。
扉は破壊するもの、未来は暗転を、草す
光に置き換えて、正史となった。野端の艷
もう大分そうやって桔梗の花は輪廻を繰り返し、
徐々に頂上に近づいていく。風に干された一枚のハンカチが
旅路の果て、この世の全てを覆い隠して、猥談を作り出す
正天は瞬ぐ、眩しからずや、誑すもの、
段々の螺旋に穴は空いて、宿仮の骸が蔓延ると痴る
蜘蛛の糸を紡いで適度に温めたものをハートの型に流し込む。
形成された土気色の甘い事、「あなた 」と名前を授けても、
差し支えはなく摂理は誤りを持ち得ない、そんなもの、
人の性。今時分に治まる.