過ぎ去りし
たいら

いつの間にか薄れた思い出も
繰り返し囁いた愛の言葉も
あの日あの時あの瞬間は
確かに何よりも大切だったんだ

約束すら忘れてしまう僕だから
何年も前の些細な日常なんて
覚えているはずもなく

目に浮かぶのは
悲しい言葉
嬉しい言葉
そして蜜のような甘い時間

全て無くしてから
塗り潰してから
もう戻らないと嘆く
不様と笑え

またいつかと記した未来図も
ぶり返す夜の切なさも
あの日あの時あの瞬間は
もう二度と戻らないと知っているから
忘れないように、捨てないように
抱えて歩こう、最後まで。


自由詩 過ぎ去りし Copyright たいら 2020-05-06 02:26:00
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