騙し船を障る
あらい

泪の鏡面には今だけが映り込むから
信じれば底は我が花園で、襤褸の帳を弾き契る旅愁でも
浮いては沈む海月たちに次ぐ、是非に明かりを下さい。

もう遅いでしょうか 君は君だけではない
すでにみえてるのだろうと
苦しいことも痛々しい姿もみなみな、嘲笑えばいい、
僕の一部で置かされ少しばかりの記憶を模倣した
それが真実だと底の其処で知ら占めていき、
それを擁いても希望だけが天上に広がるだろうから、
信じているから、未来への道を遺しながらも
ひとりは怖いので、忘れられない非を授けて欲しい。

生命とは遺棄続け、過去を着る、新しきものなどなく
死にきれないヴァンパイアのようなもの
命は吸われ焼かれ果てに継ぎ足され
溢れ零れたものは忘れ去られ、歩んだ跡は凹み、
さながら道ができ、少しずつ出逢い繋いでいけばいい

涙の川、辿って、未知に続く
底に立てれば地は塊に、足場として、天と地を定めるだけ。
死しているのか、息を灰ハイても、
ごめんね。うたう風の囁きは心が作り出したものであっても
己がモノとする、自らは盗人。
僕が生きたことを知っているのだろうか
薄明の願いは叶う世に真実を埋ウズめて
揺らめきの薙に蜃気楼を崩す、
折り紙で綴る黙し船に乗り僕はゆっくりと犯していく

何時か気づくのだろうか、そっと生まれた海に還ろうと祈る
簡略化した賽の河原の、祝詞の価値で均し、何時か、
しんではくれないか
眠りにつく日まで、縛り付けられる、今を。
僕のてのひら、そうして、君の愛は非たる。
翳しても、溢れる

シトラスの星座が瞬ぐ、果てに何があるのだろうか
球体の瑕疵を覗き込む、深淵の嘯きに障りをも玩ぶ
千里眼で游ぐ夜更けの海岸線で君に寄生したような


自由詩 騙し船を障る Copyright あらい 2020-05-05 19:42:40
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