あのとき本屋の話をしたよね
思い出話の途中で
君はクイズを出す
同じ記憶を共有しているかどうか
僕はクイズに半分しか答えられない
君はしょうがないわね、と言う
新聞にクレープ屋の紹介が載ってたでしょう
朝の出勤の時間に
君はクイズを出す
同じ記事を読んでいるかどうか
僕はクイズに半分も答えられない
君はちゃんと新聞読んでね、と言う
あそこの工務店に鯉のぼりがあったよ
夕方の食事の時間に
君はクイズを出す
同じものを見てきたかどうか
僕はクイズに全く答えられない
君は明日見てきてね、と言う
同じ屋根の下で暮らしながら
覚えているもの読んでいるもの見ているものが
様々に異なる
君は僕と同じものを共有したくてクイズを出す
そのクイズに正解するのはとても難しいが
君にとってはとても大事な指揮者の舞
僕は君の指揮棒に合わせる楽しい義務を負っている