蜿蜿縷縷
あらい

しかし、ゼンマイじかけの閉めった途上にて
奥底を知る者は死に絶えたのだ。

ようよう立て続けに崩れ行く餓者髑髏の岩窟
掘っ建て小屋にてわらわらと這いまわるも終い崩れる桃源郷が催す
魂の姿見は既に割れ目眩して指す
薄明を伝染し盗る束の間の夢謀りも掴み得る幸せも
折り重なる陽に舞い光れ 躍り朽ちる 暗き闇 彫り進めるに等し

全く、おわらいぐさ、根も葉もない噂話で在ろう
わたし など、存在など盲いてしまえば虚構も同じ

生きるすべに置いても、もう色も形も疑うべきだ
自ら生み出した思考によるものは感覚すら 今
私を司るものであるから、解らなくもない
地に臥した訳ワケも哭く 陽に焼かれたでも啼く 翼がある物でもないと、
私は万里を駆けることができ、私はソコに生きていなくとも、
私を徹して未来は継がれる

生きていること、気づいてくれ
すまんがねぇ

包装紙でも模造紙でもいい、
上紙ぐらいは贅沢に、あたたかに燃やして欲しい
凍えた大地に選り沿うように覆い隠して、
小さなひかりに成り上りたい、個個に、
生きたことを知るモノが新たに息吹を染め
今、生まれ変わる、今、美しく写し撮られる

命は直ぐ、儚い価値に垣間見え
汚泥に点る満月、夜風共々、灰とこの身を廻してくれ、
凡てを亡くしても美しくありたいと、頭を垂れ哀願するもの。
華の最期を標す

いとも簡単に自分を捧げる未知は、
知らず小さくか細い願いと叶い純潔は散った
頬を染め醜く腐り逝くものだが 正しくは好むものを知っているからこそ、
見せつけるように天に面を晒す、
あの日の陽の光より美しくある姿を妬き転がして
辺りにひが放たれますと ほそき道に塒を絶たれたものどもが
明けにも満たない漆黒に 仰山這い出て参りますが、
そりゃあ着の身着のままであります
嘲笑うほどに滑稽で惨たらしい雄叫びが天を穿つほどに煙るもので、
いやはや いいひ でありますねえ。
こうして私の明日は洗われ、ひがひがひをもたらして

フフ、嫌いだという事に責任は持たず吐瀉は速やかに行われるが、
それにしたって彼方が好きと罵ってしまえば、
私は狼狽し赤面するであろう。
私は其れに対し責任はとれそうにないので、
お友達にも慣れそうにないな、

兄の欠片は少し重いの
其れはタンノウだったか、しっぽだったか、全く
親不知にもほどがあるのだろう私は
牡丹とも穿つ乳首を摘み獲り 霧の箱に冷たく寝かせたとき、
錆びれた紫色が空に昇るのを見た。
なにはなくとも薄墨は遠く滲みそのうち霞んで往くもの。
おぼこの身に感じられるなら、やはり石ころは灰色の虹を背負わせる

ね、同じにはならない陽に点は妬けている、無慙にも、よっていく。


自由詩 蜿蜿縷縷 Copyright あらい 2020-04-26 15:47:59
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