くらげの骨
むぎのようこ
瞼のおくに
鼓動がやどって
かなわなかった祈りも
血肉となって
いつか
癒える日を
ゆるさないでいる
それぞれの
さいはてに立って
白い旗をふる
くさはらのそこここは
まあたらしく
焼けていて
こげた花びらとかおりと
を
しみつけては
平熱をうばって
あめが降る
平たくならされた
かなしみに
寄り添わない胸に
憩う
やさしい骸を游がす
空をあおいでは
のけぞった
嗚咽がひたひたと喉元
まで
、満ちる
軟化する海に
月になっておぼれる
浸透圧も
ほどけたままの膚も
そっと脱げて
そうしてここからも
どこからも
とおく、とおくなる