アルストロメリアの妖精
丘白月

仲の良い妖精が二人
満月に内緒で種を育て
星が煌めく下で恋を囁やき
二人で一つの花を咲かせる

仲の良い妖精二人に
嫉妬したミツバチが
全部の花に意地悪をして
花びらの一枚に足跡を残す

その日の黄昏
花びらに残った黒点を見て
妖精は驚いた
太陽の女神が付けたと思った

その日から二人の妖精は
花びらの一枚だけ真似て
黒点を描きつづけた
これが僕達の花だよと

百合の妖精から生まれた二人
虹のように色を並べ
太陽に結婚しますと言った
謝るミツバチにも蜜をあげる

細くて長くて折れやすい茎が
二人の妖精のように
寄りかかり合って咲き
消えない太陽の黒点になった


自由詩 アルストロメリアの妖精 Copyright 丘白月 2020-04-14 23:03:59
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