わたしについてのわたし
かんな

むかしの歌をきくたび
過ちは目の前でかげをつくる
おもかげを残した
ふるさとのあの道で立ちすくむ
かなしみ、なげき、いきどおる
わたしはほほえんでいたのか
あのとき、あの場所で

やまほどの
伝えたいことばを燃え尽くしていった
あの日の夕焼けを
冷え切った夜だけが知っていた
どれほどとざされても
ふかい眠りはいつしか
鮮やかすぎる朝のひかりに溶けてゆくのだろう

わたしはわたしに問いつづける
むかしも、今も、これからも

ひとりぼっちの意味を
愛することのむずかしさを
それゆえに
壊してしまうあやうさを

悩み苦しみつづけたことを
傷つけすぎたあなたやわたしを
欲したものや失ったものを
そして、しあわせを

あの海の底で
絡まりつづけた記憶の糸の
さいごにほどけてゆくひどくしなやかなこころを

わたしについてのわたしを


自由詩 わたしについてのわたし Copyright かんな 2020-04-02 13:25:27
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