in future
由比良 倖

音楽が始まる。見過ごしてきたものを、ひとつ、ひとつ、記憶は、いつか逆流するものだし、私は私のふりをしていたいつかの私以外なのだし、私は、雨の時間を浴び続けている、灰色の、波。未来を誰よりも早く弾きたい私は、赤いパッケージの煙草、赤いお酒、すっかり寒さと思考の炎症で、真っ赤になって、地球のどこかで時を刻む、大まかに、毛布の中、どこまでも開かれていく私は、世界の調子が悪い。

夢を見た。僕は光にまみれていて、寒くて、あなたの手を取るけれど、それはプラスチックで温度が無くて、あなたには顔が無くて、僕はマネキンの手をしっかりと抱いているのだった。「手から人間が産まれるなんてことがある?」ウィンク。

「世界を壊してごめんなさい」

その世界では皆が募金箱を下げて歩いているのだった。誰もが歌を歌っていて、それらが重なり合って、靄を産み出している、誰が何を呻いているのか聞き取れない、僕は持っているお金を空に向かって放つ、お金が誰の上にも公平に降り注ぐように。だけれど音楽はどこにも見付からない。僕は値札を降らせる。永遠の夜に、偽物の陽が差して、大きな虹が架かるように。

寂しい。Love, Love, Love. 浮遊。どこにもいない私が、全ての場所に存在するあなたに出会うとき、私はもう、お墓参り、死んだ人たちのために歌を歌うくらいしか、することがないのではないかと思います。新しい一人称をください。何もかも、私は新しいものに着替えてしまって、私は、私という根拠は、失われた光を訪ねることにしか、無いのだと思います。



アンチ・ドラマチック。望んでいた結末は、永遠にやってこない。世界は、もうすぐ終わるもの。にに、ねえ、咲いた花を踏んで歩こう。ただ空だけに繋がっていればそれでいいのだし、私はあなたが好きだよ。あなたは全てから解放される。あなたは空っぽ。私も空っぽ。いいんだ、私たちは消えてしまって、あはは。全てが分かるときまでの、私たちは人間なのです、仮定的な空間なのです。//転調!//世界的な規模の停電。どこからも夢は配信されない。だから僕たちはあらん限りの声で叫ばなければならない。絶えず、酸素の限度、残された時間はあまりないの、と、感情と感情と妄想の、ヴィブラート、私の叫びが、あなたの内臓で反響して増大、弾ける、発芽してくる憎しみを燃やし尽くして、呼吸すればあなたは発光するのだし、空気はやわらかな密度をたもったまま、踊り続けるだろう。

空間の自律的な眠り・夢を神経に束ねて、私はあなたから私へと伝達される光を、すべて、余さず受け止めたいです。私は過去のすべてを受け入れて未来へ転がっていきたいのです。(世界の果ては平温)

ぴこ。PICOT? 神様はとても偏執的なので私たちの寿命はとても短い、なのに死の願いはどこかからやってくる(ごぅん)黒い血流に浮かんだ無数のゴムの手足、原始的な吐き気がするほど正確な80bps電子音で返ってくる、速い、とてもはやい、37.1℃、私は段々に自分が空間の中心に落ちていくのを感じる、椅子は頭の上にたくさん並んでいるの、車も、ビルも、手袋を付けた人たちと、落ちていく私、虹の下流、かりゅう、かりゅう、カリゥ・・、黄色い、苦い、気体・・、ざらざらした、発芽への執念で、満ちている・・、考えがやさしく焼き切れていく。



古くなっていく。好き。)(あ、いや)(そうでは無かったかも知れないんだ。私たちのTVアイズ、まっすぐにうねった線がやさしい、光、ちかちか、未来から流れてくる、言葉たち・・。


自由詩 in future Copyright 由比良 倖 2020-03-28 05:44:33
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