海べの墓
おぼろん

海べの小道には、
海へとつづくだけ、
海までもどるだけ、
それでもどこかへゆくのか、知らない?

私を追いこしていた、
私を忘れていた、
私を落としてしまったのは、
どんな時だった?

海べの小道には、
海べの教会が、
(あれは、工場だったでしょうか?)
海べの墓を伴っていた。

私に恋していた、
私を愛してくれた、
あの子はどうなったろうか、
どこかで生きているのかしら?

海べのたんぽぽが、
風にまくれ、
崖にそって、吹き飛んでいったのは、
あれは昨日のことだったかしら?

私のかぶっているのは、
退屈という帽子。
私の着けているのは、
はにかみというネックレス。

海までの行程が、
海に流れる砂が、
はてしなく、はてしなくて、
手がとどかないと思えるの。

私の心にふれて、
私を凍らせて、
私の胸にもどってきて!
海をゆく、せつなさは。


自由詩 海べの墓 Copyright おぼろん 2020-03-25 13:06:25
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