pinhole fish
むぎのようこ

凍りながらかけてゆく
つま先の音が
まぶたの裏でひかっている
薄むらさきの血液が花を
さかせていた
降ってはかえる雪の
野は
斑にはるをくちずさみ
ついになった色から透けてゆく
したさきの
渇きに火をともしては
片端から
星になって膨らんでは
しろく、浮かんだ
瞬きをなんどもゆすいで
さくら色をした体液が
滑滑と、
うすまっては足元を通りすぎて
いって
囲うように眩しくしのばせた
綻びも、はれて
地のいろにとけては
むすばれてしまうからしろく
そまっていたかった
音、
だけが
こだましたさかさまの夜が
ひとみの
底を、游いでいる






自由詩 pinhole fish Copyright むぎのようこ 2020-02-16 23:21:35
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