恋人たち
草野春心



  恋人たちは
  ひと夜きりの雨だれ
  むなしいヘッド・ライト


  路上で きたない髭の男が
  犬のように愛をうたっている
  さわがしい言葉と いつか記憶に
  変わっていく忘却を
  胸に抱いて


  東京の朝を目ざめる
  恋人たちは ひと夜きりの
  雨だれ 闇のなかの 光




自由詩 恋人たち Copyright 草野春心 2020-02-16 19:49:04
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