わらしべのかげ
帆場蔵人
遊べや遊べ わらしべ一本
わらしべ一本 遊べや遊べ
遊びをせむとや生まれけむ
誰もが一本のわらしべ握り
明日は長者か乞食ぼうずか
種もみの実りを待たずさり
中洲で噛みあう野犬の群に
案山子の眼がひとつ落ちた
わらしべ一本 手放すならば
その手はなんでもつかめるぞ
なんでもつかみなんでも育て
なんでも手放し空でもつかむ
遊べや遊べ 夕陽にのびた
その影こそがわらしべ一本
わらしべ一本 遊べや遊べ
明日は長者か乞食ぼうずか
楽しや愉し 烏が阿呆と鳴いたなら
童に戻り遊びをせむとや生まれけむ