よちよち
梓ゆい

はいずりをするきみのお仕事は
周りの人を笑顔にすること。

口の端っこをぎゅっと上げて
上と下に二本ずつ生えた白い歯を見せながら
声を出して笑っていよう。

「そこにいるだけでいいんだよ。」と
優しい一言を引き出すために。

顔を上げた先にいるのは
お父さんとお母さんと今は亡きおじいちゃん。

きみに会いたくて・会いたくて
ふらりと家に帰ってきます。

「けがや病気をせずに、元気で大きくなれますように。」

おじいちゃんはたったひとつの願いを込めて
きみの頭を撫でた後
柔らかくてぷにっ・ぷにっとしたほっぺたにも
そっと触れています。

共に過ごすわずかな時間の幸せを噛みしめ
母となった娘と孫を見守り続けて。



自由詩 よちよち Copyright 梓ゆい 2020-02-14 04:17:28
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