明日香村の妖精
丘白月


バラの妖精に恋した
赤鬼の女の子
刺を角にして
ほらバラになったよ
妖精のような笑顔

今も残る鬼の俎に腰掛けて
思い出すのは
今はいない友達のこと

鬼の俎でお昼寝すれば
タンポポの綿毛が
雪のように降ってくる
妖精は雪うさぎになって

跳んで飛んで
天香久山に棲んでいた
鬼たちのお墓参りに行く
赤いバラの花束を持って


自由詩 明日香村の妖精 Copyright 丘白月 2020-02-10 21:36:00
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