金木犀の匂いがすらあ
TAT
十年も前
オレら
爆笑しながら
ドライバー一本持って
ゴルフしてた
文字通り
一本だけ
得物をぶら下げて
酒飲みながら
カート運転してさ
いまだに俺は
まともにゴルフなんか
した事ないけど
でもスコアは
まあまあ良いと思うで
パターも上手いしな
プロゴルファー猿ごっこしてた
神戸南カントリー倶楽部で
バイトしてた
あの頃
薄暮に
アウトコースでさ
金木犀の匂いがすらあ
もぉそんな季節でな
ほいで川ちん
辞めんやろ?
そう訊かれて
でも答えれんかった
もう辞めることに決めてたから
あと俺は
その匂いが金木犀の匂いやって
その時初めて知ったよ
金木犀という言葉も
その匂いも
両方知ってたけど
それがそれやと
初めて俺に教えてくれたんは
シーさんや
あれから結構経つけどや
シーさん
べっちょないやろ?
クソくだらん田舎のゴルフ場で
昭和の終わりから病んでる
クソくだらん金持ちの屑の
金のゴミ捨て場で
ナイスショット
風を切り裂きながら
飛んでった
スリクソンの
ボールみたいに
俺は無敵やって
今もそう言うてくれよ
シーさん
たいこ弁当で
生姜のおでん
また奢るから
自由詩
金木犀の匂いがすらあ
Copyright
TAT
2020-02-09 22:23:57