カナリア
ミナト 螢

天井を見上げると落ちて来た
鳥かごみたいな影の形が
制服のプリーツスカートになる
自分で立っているはずなのに
両足が無くなった気がしたよ
守られてるだけで動けなくなって
カナリアのように鳴いてみせるから
黒い波線に浮かぶ防波堤
今日は誰のために揺れるだろう
雪が染みたスカートに気付かずに
ストーブでプリーツを焦がしていた
いつか翼になれたかも知れない
歪な傷跡を残すままで
鳥かごは壊れカナリアは逃げた
もう私は誰のものでもない
なんて言えるほど強くもなかった


自由詩 カナリア Copyright ミナト 螢 2020-01-29 08:17:16
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