別離 【改訂】
レタス

秋過ぎて
名残の風は
漂泊の
想いで刻む
たむけ花

荼毘だびに付したる
むくろには
五色に浮かぶ
懸想文けそうぶみ

てのひらほどく
文様も
水底みなそこ沈む
龍鱗りゅうりん
染むる誓いと
思し召せ

冷たき肩を
かきいだ
かいなはすでに
ちから無く
寄することさえ
ままならぬ

行に伏したる
想いにも
甚深無量じんじんむりょう
沈ませて

君がため
我がためにと
塔を建つ

夢寐むびの端にも
掛け給え

輪廻の果てに
想いつる
白き蓮華の
君なれば





注)荼毘   =火葬
注)懸想文  =恋文
注)かいな  =腕
注)甚深無量 =持ちが非常に深くその多さが数えられないこと
注)夢寐   =眠って夢を見てること


自由詩 別離 【改訂】 Copyright レタス 2020-01-25 21:34:26
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